体脂肪を燃焼させるためにはゆっくり歩くことが大切
「毎日、30分歩いて」というと、2回に分けて15分ずつ散歩する人が必ずいます。
しかし、それでは体の脂肪は燃焼されません。
なぜなら、私たち体のエネルギー代謝がそうなっているからです。
つまり、こういうことです。
体内でエネルギー源となる物質は、ご存知のように糖と脂質です。
しかし、この2つはエネルギーとして利用される過程がかなり異なっています。
わかりやすく言えば、糖をエネルギーに使うほうが簡単なのです。
だから、運動を始めると、体はまず体内の糖を使ってエネルギーを作ります。
散歩のような楽な動きでも同じです。そして、そのまま休まず運動を続けて20分ほど経過すると、筋肉や血液に貯蔵された糖が少なくなっていきます。
そこで、体はエネルギー代謝の方法を変え、脂肪をエネルギー源とします。
脂肪をエネルギーに変換する時には、酸素が必要です。
つまり、脂肪を燃焼させるためには、息を止めて力を入れるような急激な無酸素運動ではなく、呼吸しながら続けられるような有酸素運動が効果的なのです。
脂肪を燃焼させるエアロビクスは、呼吸をしながら長時間続ける理想的な有酸素運動と言えます。
従って、「減食ダイエット」でも、大切なのは、「散歩を始めたら途中で止まらない」ということです。楽々の散歩であっても、安静時よりは脈拍が上がって、運動エネルギーが消費されています。
スタートして20分後から脂肪燃焼の時間になりますから、必ず30分同じペースでゆったりと歩き続けるようにします。
もう一つ、歩く時に注意したいのは、正しい姿勢でゆっくりと歩くということです。
これは、汗をかかない程度の軽い運動を保つため、そして何より脂肪を燃焼させるために欠かせません。
筋肉には白い色をした「白筋」と、赤い色をした「赤筋」があります。白筋というのは、糖利用のエネルギー代謝によって瞬発的な力を発揮する「短距離型」の筋肉です。
赤筋は逆に、脂肪を利用したエネルギー代謝によって持久的な力を発揮する「長距離型」の筋肉です。
世界の海を泳ぎ回るマグロやサンマなどの回遊魚は、皆、赤身の魚です。持久力のある赤筋がが多いためです。逆に、海底などで、じっとしているヒラメのような白身の魚は、餌を取るために瞬間的に素早く動かなければなりません。
だから、白筋が多いのです。
人間の筋肉にも、白筋と赤筋があります。白筋は主に糖を燃やし、赤筋は脂肪を燃やすわけですから、ダイエットのためには白筋を使って力むよりも、赤筋をゆったりと使う運動が適していいることになります。
歩く運動で最もよく働くのが太ももの筋肉。太ももの前側は走ったり早歩きする時に脚を引き上げる「白筋」で、太ももの裏側は地面を蹴って前に進む「赤筋」です。
ですから、あまり足を高く上げず、だらだらのんびりと30分以上歩くのが、脂肪を燃やす効率的な散歩になります。
但し、姿勢は正しくして歩くこと。
なぜなら、背中からお尻についている「直背筋」という、姿勢を維持するための筋肉も赤筋の1つだからです。
減食ダイエットでは、食事と運動の重要度は8:2。
「しゃかりき」になって運動を頑張るのは逆効果。体がどのようにエネルギーを使うのかを理解して、賢くスマートに痩せましょう。